相続による不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました。義務化までに知っておきたい相続登記に関するあれこれ 大阪市の司法書士・行政書士/菊地理事務所
2022/02/22
令和6年4月1日より、相続による不動産の名義変更(いわゆる相続登記)が義務化されることになりました。
と聞いても、正直なところ「・・・義務化???」という方も多いのではないでしょうか。
なので今回は、相続登記義務化に関して、経緯も含めて簡単に説明したいと思います。
目次
今まではどうだった?
これまで、相続登記を含め、所有権等の権利に関する登記(所有権移転登記、抵当権設定・抹消登記、住所等変更登記など)については「義務」ではなく、当事者の「任意」によるものでした。
しかし今回、数ある権利の登記のうち「相続に関する所有権移転登記(名義変更)」および「住所氏名変更(更正)登記」の2つが義務化されることになりました。
※住所氏名変更(更正)登記については、令和3年4月28日から5年以内の予定
なぜ義務化されることになったのか
それは現在、社会問題化されている「所有者不明土地」が増えたことで、その解消に向けた国の取り組みにあります。
「所有者不明土地」とは
①不動産登記簿により直ちに所有者が判明しない土地
②所有者が判明しても、所在不明で連絡がつかない土地
のことです。その原因の66%が「相続登記の未了」、34%が「住所氏名変更(更正)登記の未了」にあります。
「相続登記の未了」がなぜ多くなるのかは別の機会に説明するとして、以上の原因によって、この2つの登記について義務化されることとなりました。
相続登記義務化に関するあれこれ
①相続発生後、いつまでに名義変更をすればよいか
令和6年4月1日より「前」に相続が発生した場合
→「令和6年4月1日から3年以内」もしくは「相続による所有権取得を知った日から3年以内」
令和6年4月1日より「後」に相続が発生した場合
→「相続発生後から3年以内」もしくは「相続による所有権取得を知った日から3年以内」
ちなみに、「相続による所有権取得を知った日」とは、以下の場合などが考えられます。
・親兄弟など、亡くなったことは承知しているが、不動産を所有していることまでは知らなかった
・遠い親戚などが亡くなった場合で、自分に相続権があることを知らなかった
ここで注意が必要です。
令和6年4月1日以前に相続が発生した場合についても、同日より相続登記が義務付けられていることです。
よって、すでに相続が発生している被相続人名義の不動産についても、同日または所有権取得を知った日から3年以内に名義変更をする必要があるということです。
②義務を怠った場合の罰則
「正当な理由がない」のに、登記申請義務に違反した場合には10万円以下の過料の適用対象となります。
当然、個々の事情により名義変更ができない場合も想定されますので、「正当な理由がない」場合となります。
「正当な理由」とは、以下の場合などが考えられます。
・数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
・申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース
③所有不動産記録証明制度
相続登記の義務化に伴い、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度が新設されます。
相続人が被相続人名義の不動産を把握しやすくなるので、相続登記の手続的負担の軽減や、登記漏れを防止するのに役立ちます(これはめちゃめちゃ便利な制度だと思います)。
プライバシーへの配慮から、証明書の交付請求ができるのは所有者本人か、その相続人などに限られるようです。
まとめ
「義務化」となると、相続することについて負担が大きくなる、と思われる方も多いと思います。しかし、相続登記は伸ばせば伸ばすほど、逆に負担が大きくなります(これはまた後日に説明いたします)。
罰則もありますが、所有不動産記録証明制度など便利な制度もありますので、これらを活用して早期に相続登記を行いましょう。
司法書士/行政書士菊地理事務所では、数多くの相続案件に携わってまいりました。これからも皆様の身近な法律家として、更なる相続案件に関わっていきたいと考えております。
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